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農業と経済2013年4月号

日本原子力発電が、保有するウランを一部売却したという報道がありました。保有する原発の稼働ができず、銀行への返済資金を確保するためのようです。売却先は伏せられています。売り先がどこで、いくらになるのか、庶民にはうかがい知ることはできませんが、なんとはなしに不気味な感じです。
 一方で原発の下に活断層があるのかないのか、科学者と電力会社の綱引きが続いています。首相は「科学的判断」を主張していますが、実際のところ「科学」に判断は下せません。現実には、「科学」的事実に基づいた「科学者」の判断です。この科学者の判断を受け入れるかどうかは、「政治的判断」ですから、その判断の責任から政治家が逃れることはできません。政治家は国民が選んでいる以上、国民もその責任は多少なりとも負っているでしょうが、原発再稼働を正面から問うた選挙でもない限り、やはり「政治的判断」に責任があることは明白です。
 原発の再稼働については、経済面が主張されますが、実際のところは核の技術やアジアにおける核のバランスといった、アメリカとの関係を含む安全保障にかかわる政治的判断が大きな要素なのかもしれません。これはTPPにも同じことがいえると思います。世界の情勢は庶民が思っている以上に緊迫したものがあるのかもしれません。でなければ普通に考えて、核爆弾と原発事故による大きな被害を受けた世界で唯一の国の国民が、まだ原発にこだわる理由があるのでしょうか。あるいは単に「カネ」の問題であるとしたら、それはそれで情けない話です。
 高度な政治的判断は直裁に国民には伝えられないのかもしれませんが、いつまでも話のすり替えや「科学」を根拠にした責任逃れは、決してよい結果をもたらすとは思えません。海外との関係や世界的企業を守るために国民相手にしたたかな政治をするのではなく、国民のために諸外国とタフな交渉をする、そんな政治家の姿がみたいものです。(R)

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