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『農業と経済』2012年1・2月合併号

初雪の報が各地から聞こえはじめ、冬の到来を告げています。京都の秋は、寒暖の差があまり紅葉に向かなかったのか、例年より色づきが悪いままでした。それでも寒さは確実に増してきていて、東日本の被災地では、寒さ対策が遅れているとも聞かれ、仮設住宅などでの生活が心配されます。電力供給に不安を抱える今年の冬が、できれば暖冬であってほしいと願うのは、勝手でしょうか。
2011年の日本は、大震災や水害という自然災害に加え、円高やタイの水害による経済不振、そしてTPP問題と大きな問題や課題を突きつけられた年でした。加えて世界の経済状況もEU加盟国の債務問題の広がりによって、不安定さを募らせています。先進各国の通貨供給量は増えているので、もっとお金が回って庶民の所得が増えてもおかしくないはずですが、一向にそうはなりません。むしろデフレ傾向は続いていて、お金がどこかに集中、滞留しています。これでは、資本主義経済はなりたちません。
溜まっているお金を流通させるのが正しい処方なのでしょうが、残念ながら世界は逆の方向に走り出しているように感じます。お金の力に人は負けてしまうのでしょうか。そんな悲観的な考えになりがちですが、本号の特集はそれに対する大きなヒントを与えてくれているように思います。事業の多角化や6次産業化は、農家の「経済」を支えるためのものですが、いったいその「経済」とは何なのか。お金はお金そのものが目的ではなく、暮らしを豊かにするためにうまく使い、回すことがその目的です。地域で知恵を出す合う中から、自然とその方向が生まれてきているように感じられます。
さまざまな困難はありますが禍福はあざなえる縄のごとし、2012年が被災された方をはじめ、みなさまにとってよい年となることを願ってやみません。(R)

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