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『農業と経済』2017年4月号

金正男氏暗殺の報道が繰り返されています。今の日本人にとっては、暗殺が起こるような社会状況は、ピンとこないかもしれません。「北朝鮮だから」と考える人もいるでしょう。ですが、今の日本でも、「えっ?」と耳を疑うようなことは、起こっています。なぜかいまのところあまりテレビでは報道されない「森友学園」への公有地売却問題です。
 大阪にあるこの学園は、現在塚本幼稚園を運営していますが、そこでは教育勅語を園児に暗唱させるなど、かなり独特な教育をしているといいます。その学園が、安倍昭恵首相夫人を名誉校長として「安倍晋三記念小学校」なり、「瑞穂の國記念小學院」なり、小学校を建てるという、ここまででもかなり腰が引ける話ですが、その土地売買に大きな疑惑がかかっています。近接する公有地は14億で売却されたにもかかわらず、この学園はこれに近い条件の土地をただに近いような金額で入手しました。すでに国会でも野党が質問していますが、安部首相は関係を完全否定しています。関係ないで住む話ではありません。
 ことの真相はまだ不明ですが、もし首相に関わりがあるなら、大スキャンダルです。かつてのロッキード事件以上かもしれません。それを関係ないで済まそうとしていること、テレビ報道が異常に少ないこと、ともに「えっ?」と思えることです。
 東京と地方、都市と農村部といった経済格差や、都市部における富裕層とそれ以外の経済格差の拡大は指摘され続けています。かたや東日本大震災やフクシマ、熊本地震といった地方の被災地の復興は時とともに置き去りにされつつあるところも増えています。政策では競争力アップや規制緩和、それに一億総活躍といった「前向き」な言葉が幅をきかせていますが、垣間見える「えっ?」と思うようなできごとが、踊る言葉の裏に隠された真実だとすれば、報道機関がいまこそその真実に迫るときではないでしょうか。「えっ?」と思う疑問に慣れてしまうのは危険な兆候だと思います。(R)

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