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『農業と経済』2015年5月号

本誌が発売になる頃、各地では統一地方選前半の投票日が間近になっている頃だと思います。昨年12月の衆議院選挙は、最低の投票率という国民の責任を放棄したような数字だっただけに、この選挙の数字も気になります。低投票率の地域は、住民の地域への関心が薄いと思われてもしかたないのかもしれません。地域のゆくえを決める選挙に、まずはどれだけの住民が意思を表明するのか、重要なところだと思います。
 「消滅可能性都市」が提言されるまでは、地方に関心がないように見えた安倍政権ですが、アベノミクスの成果がいまひとつ見えず、地方での選挙に黄信号がともるなかで、それまでのアベノミクスから目を地方へ向ける、渡りに船の提言であったといえます。それまでとは一転したように、「地方の活性化」に向けた政策がまとめられていきました。
 しかし、ふくらむ財政赤字をかかえてどれほど地方に権限と財政を渡せるのか。1月に予定されていた個人向けの新型窓口販売の国債は需要が見込めず、販売が停止となるような状況では、2020年の基礎的財政収支の黒字化には暗雲が立ちこめています。実際のところ、地方のアイディアや活性化なしでは、ほんとうに日本の財政は手詰まりとなるところにきているということかもしれません。これがうまくいかなければ、増税につぐ増税ということも予想されます。
 春闘では大幅賃上げがあったので、経済も好転するという人もいるでしょうが、2014年の貿易赤字は過去最大。官製相場で上昇した株をもつ投資家と円安で利益を伸ばした一部輸出関連産業以外は、むしろ状況が悪くなっているのが現実ではないでしょうか。安倍首相は首相が「わが軍」とよぶ自衛隊に予算をさらにつぎ込むようですから、国の財政に余裕のあるはずもなく、自分の地域は自分で守る覚悟ができないと、「消滅可能性都市」ならずとも存続が危ぶまれます。地方選の投票率が、まずは地域のやる気のバロメーターという気持ちで考えてみてはどうでしょう。(R)

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